主人と僕の旅路 4
□鉄砕牙の炎
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ぐ〜とお腹を鳴らしながら畑を漁る。見張りはいつもの通り邪見だ。
だが、今日はいつもと違った。
「鈴!」
「んー?」
「人が来るぞ!!」
「!」
ハッとして顔を上げる。と、遠くに人影が二つ見えた。
私は急いで盗んだものを抱えて立ち上がる。その人影も私の姿を見つけたのか猛スピードで走ってきた。
「お、おい。鈴!」
「わ、分かってるよ!」
両手に野菜をいっぱい抱えて走る。が…。
何やら大声で叫んでいる。
「助けてくれぇ〜!」
「ん?助けてくれ?」
私は急ブレーキをかけて立ち止まって、邪見と目を合わせた。
最初に口を開いたのは邪見だ。
「まさか話を聞こうという魂胆ではあるまいな。殺生丸さまを待たせているのだぞ」
「う…。それは分かってはいるのだけど」
放ってはおけないし。ちょっとだけなら話を聞いても。
私はくるりと踵を返して二人に向き合う。二人はゼーハーと肩を上下させて、私の目の前までやってくる。
どうも身なりからしてこの付近の村人のようで、二人とも老人のようだ。
「た、た、助けて、くれ」
「一度落ち着いて下さい」
「鬼が…。鬼が毎夜村で暴れるんだ」