主人と僕の旅路 4
□沼渡
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殺生丸さまの様子がなんだかおかしい。何かを考えているような…。
私は阿吽に乗りながら殺生丸さまの横顔をドキドキしながら見つつ、すぐ側にある沼へと意識を集中させる。
「どうした?喉でも渇いたんか」
「いや、そうじゃなくて…」
あの沼…。妖気が漂っている。
私は邪見に「あの沼に近づかない方がいいかも」と忠告してから、立ち止まって沼を観察する。
と、そこへバサバサと音を立てながら一羽の鳥が水を飲もうと沼へ近づいてきた。
けれど…。
「…」
水は鳥を囲み、あっという間に沼の中へと引きずり込んでしまった。
「沼渡だ…」
「沼渡?あれが…」
殺生丸さまの言葉に記憶の中にある文献を引っ張り出す。
沼渡というと、沼に近づいたものを喰らう妖怪だ。今の現代ではいなくなったとされていたけれど。この時代にはまだいるのか。
殺生丸さまはしばらく空を仰ぎ見たかと思うと、何故かフッと口元を歪ませる。
「殺生丸さま?」
「…直に犬夜叉が来る」