真実を映す鏡4

□緊迫
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私は病室から出て織姫ちゃんに追いつく。

「織姫ちゃん!」

「あ、紫乃さん」

織姫ちゃんの近くには雨竜君のお父さんがいる。お父さんは私の姿を見ると踵を返してスタスタと去って行ってしまう。

「あの、ごめんね。なんか邪魔しちゃったかな」

「いえ、大丈夫ですよ」

私はホッと息を吐いて織姫ちゃんに駆け寄る。

「一人じゃ寂しいから一緒に帰ろうと思って」

もちろん理由はそれだけじゃない。雨竜君を襲った相手が次は織姫ちゃんを狙うかもしれないからだ。

「あの、それが、石田君のお父さんに車で送るって言われて」

「え?」

送るってさっきどこか行っちゃいましたけど……。

織姫ちゃんも雨竜君のお父さんの行動に困惑しているのか、「えへへへ」と苦笑いを返した。

このまま雨竜君のお父さんを待つつもりなのかな?でもお父さんどこか行っちゃったし。

ずっとこのままっていうのはさすがに……。

と思っていたところにカツカツと足音が聞こえる。そして雨竜君のお父さんが姿を現す。

お父さんの服装が白衣からスーツになっている。

「なんだ着替えに行ってただけなのか…」と思わずポツリと呟くとお父さんは「彼女を置いてきぼりにしたとでも思ったのか」と睨まれた。
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