主人と僕の旅路

□真の使い手
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「うっ」

私はゆっくりと体を起こす。

どうやら眠ってたみたいだ…。

キョロキョロと辺りを見回してみると…草木がたくさんある。

「ここ、どこだろう?」

なんとか立ち上がろうとするが、体が動かない。
肩や脇腹に矢が刺さっていることに気づく。

そうか…。当主様に矢を放たれて、その反動で崖から落ちたんだ。
…!ってことは、死んだってこと!でも生きてるわけだし。

私はおもいっきり頬をつねってみる。

「っつ!」

痛い!!っというか、矢を受けたせいか体のあちこちが痛い。

「…とはいえ、動かないわけにはいかないよね。当主様が追ってくるかもしれないし」

自分はなんとか生きていたのだということにし、体をゆっくりと起き上がらせる。

その瞬間、突然強い妖怪がすぐ近くにいることに気付いた。

ものすごく大きな妖気…。強い妖怪は全て芦屋家が滅したと思ってたのに…。こんなに強い妖怪がいるんだ。

「様子を見に行くだけなら…」

大丈夫だよね!?私、怪我してるけど陰陽師なわけだし。何かあったら陰陽術で攻撃しよう。うん。

傷口が痛むし血も出ているが、気にせず、しかしゆっくりと妖怪の方に近づいていく。




このすぐ近く。

一分ほど歩くと、妖気がさらに強くなった。

私は物陰からこっそりと妖怪を覗く。

髪の白くて長い妖怪が、木の根元に寝転んでいた。人型…なのかな?

ものすごい怪我してる。私が言えることじゃないけど…。体からシューシューと焼けてる音もするし…。

一歩近づいてみようとする。
っが、カサ…と予想以上に大きな音がなってしまった。

その瞬間、妖怪は私の方を向いて「シャーッ」と威嚇してくる。
私は咄嗟に式神の用意をするが、妖怪はまた元の姿勢に戻ってしまった。

攻撃…してこない。っというか、する体力が残ってないみたい。

「…」

このままにはしておけないよね?大きな怪我してるし。私が言えたことじゃないんだけどね。

焼けてるってことは、水が必要かな。

私は着物の帯に結んである水筒を取り出す。

中身、お茶だけど平気だよね?

私はごくっと唾を飲み、妖怪に近づいていく。
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