主人と僕の旅路 3

□広がる汚れ
3ページ/3ページ

洞窟の奥へと歩いていくと大きな門が見える。門の両端には石像。

「あの世とこの世の境をつなぐ門…か」

「通りたいのか?」

石像がギロ…とこちらを睨み付ける。

今のって石像がしゃべった、んだよね。

でもこの石像、妖怪じゃないし。睨み付けられて恐いけれど、何故か嫌な感じがしない。

「通りたいのか?通りたくないのか?」

「と、通るに決まっておろうが!そのために来たんじゃっ」

「ならば通そう」

その瞬間、ズンと石像が動き出す。

「!?」

二つの石像はそれぞれに武器を構えている。

「殺生丸さま…」

私は懐から式紙を取り出す。

私が殺生丸さまの役に立つとは思えないけれど。けれどせめて、自分の身くらいは自分で護らないと。

殺生丸さまも闘鬼神を取り出す。

そして私の目の前に立った。

???

「…あまり前には出るな」

「え?」

「こ、これ!」

いつの間にか殺生丸さまの毛皮を掴んでいる邪見が声を大にする。

「鈴が前に出て怪我でもしたらお困りになるだろうが!!」

「え、うん。……ってお困りになる?」

私が尋ねると殺生丸さまは邪見をグーで殴りつける。

あ、そうか。殺生丸さま、やっぱり私のこと心配してくれてたんだ。


次の章へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ