主人と僕の旅路 3
□広がる汚れ
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洞窟の奥へと歩いていくと大きな門が見える。門の両端には石像。
「あの世とこの世の境をつなぐ門…か」
「通りたいのか?」
石像がギロ…とこちらを睨み付ける。
今のって石像がしゃべった、んだよね。
でもこの石像、妖怪じゃないし。睨み付けられて恐いけれど、何故か嫌な感じがしない。
「通りたいのか?通りたくないのか?」
「と、通るに決まっておろうが!そのために来たんじゃっ」
「ならば通そう」
その瞬間、ズンと石像が動き出す。
「!?」
二つの石像はそれぞれに武器を構えている。
「殺生丸さま…」
私は懐から式紙を取り出す。
私が殺生丸さまの役に立つとは思えないけれど。けれどせめて、自分の身くらいは自分で護らないと。
殺生丸さまも闘鬼神を取り出す。
そして私の目の前に立った。
???
「…あまり前には出るな」
「え?」
「こ、これ!」
いつの間にか殺生丸さまの毛皮を掴んでいる邪見が声を大にする。
「鈴が前に出て怪我でもしたらお困りになるだろうが!!」
「え、うん。……ってお困りになる?」
私が尋ねると殺生丸さまは邪見をグーで殴りつける。
あ、そうか。殺生丸さま、やっぱり私のこと心配してくれてたんだ。