主人と僕の旅路 3

□許嫁
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ザァ…と冷たい風が吹く。

「奈落の心臓のありか…だと?」

殺生丸さまが尋ねると神楽は「ああ」と低く頷き、殺生丸さまと私を交互に見る。

「あんたらも気づいているだろ。奈落は何度体を砕いても死なねぇ。奈落の分身、白童子ってガキも同様だ」

「…」

神楽はそのまま言葉を続ける。

「命に関わる部分…。心臓が別の安全な所にあるからだ」

「そうは思わねぇか」と神楽が聞くのと同時に殺生丸さまはピクリと反応する。

そのことに邪見も気付いたのか、騒ぎ立てる。

「殺生丸さま、お気をつけください。罠かもしれませんぞ」

「罠ぁ?」

「神楽っ、きさまとて奈落の分身であろうがっ。そんなやつの言うことが信用できるか」

神楽はしばらく黙ると着物に手を入れ、小さいかけらを取り出す。

私はジッと目を凝らして見る。

全く何も感じない。まがまがしいものは何一つ。

「どうやら四魂のかけらじゃないみたい…」

私の呟きに神楽はかすかに頷く。

「そう。これは妖気の結晶だ。奈落の野郎は最近、妖気を隠す守り石、不妖壁…ってのを手に入れた。おそらく、心臓のありかを確実に隠すためだ。そしてこの妖気の結晶は、不妖壁に近づくと妖気を失う。」
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