主人と僕の旅路 3
□好きな人
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神楽が目の前から完全に視界から消えてハッとする。
ボケッとしている場合じゃない!急いで殺生丸のところに戻らないと。
でも…。
一歩一歩進むたびに、胸が痛くなる。
―私…殺生丸さまのことが好き、なんだ―
意識してしまうとどうしたらいいか分からなくなり、一歩を踏み出すのがちょっぴり怖い。でも、近づきたくてたまらない。
私…。いつもどんな顔をして殺生丸さまと顔を合わせていたっけ。
サクサクと土を踏みしめていくと、優しくて温かい妖気を感じる。
そして目の前には殺生丸さまがいる。
「鈴!」と邪見に呼ばれる。
「あ、その…。ごめんなさい、遅くなってしまって」
私は顔を殺生丸さまに向けられない。
きっと今の私の顔は…真っ赤だ。
「…ケガはなかったか」
「…はい」
こうやって何気なく心配してくれる一言さえも、今は妙にドキドキしてしまう。
殺生丸さまはしばらく私を見つめたかと思うと、「…行くぞ」と歩き出す。