主人と僕の旅路 3
□神楽の命
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ザザ…と川の音が聞こえる。
私は阿吽に乗りながら殺生丸さまの後をついていく。
まだ頬が赤い…。殺生丸さまをただ見ているだけなのに、なんだかじれったくて胸が痛くなる。
その時、急に殺生丸さまが立ち止まり空を見上げる。
「どうなさいました、殺生丸さま…」
私も殺生丸さまにつられるように空を見上げる。
フ…と黒い影がよこぎり、ザーンと音を立てて黒い影が落ちてくる。
やがて見慣れた顔が水面から浮き出てくる。
―やっぱり神楽だ…―
「なんか様子が変だよ…」
神楽は目をつむったまま、川から起き上がる気配が全くない。
「いかがいたします?殺生丸さま」
邪見の問いかけに殺生丸さまはしばらく沈黙。そして「ほうっておけ。行くぞ」と神楽に背を向ける。
「え!?」
そりゃあ、殺生丸さまのことだからそう言うと思ったけれど。でも、神楽様子が変だし。
このまま放っておいてもいいの…。
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「あ!待って!神楽はっ、神楽は殺生丸さまのこと…」
「さあな」
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神楽は殺生丸さまのこと、好き、なの?
こんな時なのに余計なことを考えてしまう。