主人と僕の旅路 3
□風
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殺生丸様が神楽を庇った。助けた。その事実が心と足を重くする。
殺生丸様の後ろを歩いていく。けれど足が重くて重くて、思うように動いてくれない。
なんだか体がだるい…。
だんだんと殺生丸様の背中が遠くなっていく。
「ゼェゼェ」と息を荒くしながら、地面を踏みしめる。
どうしたんだろう。変だ…。足が重くて体がだるい。おまけに頭も痛くなってきた。
殺生丸様が急に立ち止まる。距離の開いたまま、私も立ち止まる。
「…」
殺生丸様は無言のまま、私に近付く。そして邪見に目をやった。
「…邪見」
「は、はいっ」
「休める場所を探してこい」
「へ?」
邪見と私はお互いに顔を見合わせ合って首を傾げる。
「鈴…」
急に殺生丸様に名前を呼ばれる。
「あ、はい」
「…何かあればすぐに言えと言った筈だ」
???
ガンガンと音が鳴り響く頭でどういうことか一生懸命考える。けれど答えは出そうにない。
すると殺生丸様は私をジッと見つめたかと思うと、片手で抱きかかえられた。
「え!!せ、殺生丸様っ」
「…体調を崩しているのだろう」
「え?」
体調?
私は殺生丸様に抱きかかえられたまま、おでこに手を当てる。
頭がガンガンと鳴り響く頭は、自分が風邪だと主張していた。