主人と僕の旅路 3
□風
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体から瘴気が出てくる。
「…いくのか」と殺生丸の声。
「ああ…。もういい…」
−おまえだとわかっていた−
その一言で全てが救われた。
殺生丸の顔が映る。
−最後に…会えた−
ついでに鈴の今にも泣きそうなヒドイ面も見ておく。
泣くな…。
私はあんたに…。
−自分の人生を託せたんだから−
―主人公視点―
体全体から瘴気が溢れ、風に乗って神楽の姿は消えた。
風と共に花びらが舞い上がる。
泣くな、泣くな…。
ここで泣いたら駄目だ。
唇を噛んで必死に耐える。
「…鈴、行くぞ」
私は黙って小さく頷く。
今、口を開いたら大声を上げて泣いてしまうから。
「待てよ、殺生丸」
いつの間にか犬夜叉さんたちは後ろにいる。
「神楽は…苦しんで…いたか?」
殺生丸さまは空を見上げる。
空には一枚の羽根が風に揺れて漂っていた。
「笑っていた…」