主人と僕の旅路 3
□風のあと
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私は洞窟で横たわっていた。まだ頭はガンガンと響く。
あの後、殺生丸様と一緒に洞窟に帰ってきた。
横たわっていてもやっぱり…神楽のことが引っかかる。
「…」
「…」
洞窟の中で私も殺生丸様もお互い何も言わない。こういう時にやけにうるさい邪見は私の食べ物探しに出て行ってしまって、私と殺生丸様の二人きり。
「…」
私は横目で殺生丸様を盗み見る。
殺生丸様に今までの私のことを言わなくちゃいけない。けれど上手く言葉に出来る自信がない。
ジッと殺生丸様を見ていると、殺生丸様の顔がこちらに向き目と目が合う。
「っ!」
思わず目を逸らす。
本当ならドキドキとしてしまうところが、今はバツが悪くて目が合わせられない。
きちんと殺生丸様に言わなくちゃ…。言わなくちゃ…。
「鈴」
「はい」
殺生丸様に声をかけられ、弱く返事を返す。
「…何かあるのか」
「…」
唇を噛む。
言わなきゃ…。
私が横になりながらかすかに頷くと、殺生丸様はおもむろに立ち上がり私のすぐ側に腰を下ろした。そして私の手に手を重ね合わせる。
「っ!あの」
「…ゆっくりでよい」
「殺生丸様…」
スーハーと一度深呼吸する。
私は顔を上げてきちんと殺生丸様に向かい合う。
「私…」