主人と僕の旅路 3

□奪われた金剛槍破
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炎虎の吐き出した炎が冥王獣を包む。

「おのれ…陰陽師」

冥王獣にジッと目を凝らす。冥王獣の体には金剛槍破が突き刺さっている。そして…。

空から黒焦げになった甲羅がバラバラと落ちてくる。

「およよよよ!!」と変な悲鳴を上げながら邪見は落ちてくる甲羅を必死で避けている。それを横目に、私は冥王獣に目を向ける。

やったか…。

だが、冥王獣は甲羅が全て剥がれ落ちる前にと瘴気を巻き散らしながら私達に背を向ける。

「っ!!」

弥勒さんが手に空いた風穴で冥王獣を吸おうとするも、時すでに遅し。冥王獣は空の遥か彼方へ逃げて行ってしまっている。

冥王獣…。いや魍魎丸の目的は冥王獣の甲羅。そして犬夜叉さんの金剛槍破を奪って、最強の武器と鎧を手に入れること。

私は軽くおでこに手を当てながらため息を吐く。

炎虎で甲羅を剥がれ落したものの、完全に剥がしたわけではない…。…私もまだまだ、か。

もう一度ため息を吐くと、阿吽がいつの間にか側によって来ていて鼻を私の頬にすり寄せる。

「阿吽?」

阿吽が鼻をすり寄せるのをやめて宙を見ている。

「?」

私も阿吽の視線の先に目を向ける。阿吽は冥王獣を追って飛んでいく自分の主を見ていた。
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