主人と僕の旅路 3
□逃走
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「鈴!!早く殺生丸さまを助けにいくぞ」
その声にハッとして顔を上げる。
殺生丸さまはまだ触手の中だ。そして私の膝の隣には邪見。
殺生丸さまを助ける?誰が?
―私が。
今まで殺生丸さまに怪我をしてほしくない、と思ったことはあった。けれど、助ける、護るという発想はなかった。
けれど。今は。
護りたい殺生丸さまを―。
そして、私の居場所を。
自分自身で。
「ありがとう、邪見」
私は足に力を入れて立ち上がる。
魍魎丸を睨みつけて、一歩ずつ敵に向かっていく。
「くくく…。陰陽師。鎧甲をまた焼くつもりか。先に言っておく、無駄だ」
「だったらこっちも先に言っておきます」
着物の懐へと手を伸ばす。紙を二枚引き抜く。
「さっきのは本気じゃありませんでしたから」
引き抜いたのは炎虎と雷魚だ。
本当は一度にいっぺんに式神を使うのはかなりの体力を使うからあまりやりたくはないのだけれど。でも。できないわけじゃ、ない。
「空を覆いつくせ」
その言葉と共に、炎虎と雷魚は空へ舞い上がっていく。