主人と僕の旅路
□恐れ
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「奈落!!!」
ばっと後ろを振り向く。
邪見もさっと人頭杖を構えた。
「久しいな」と奈落が含み笑いをする。
「き、貴様!今度は何の用じゃ」
「そこの小娘、鈴に用があるだけだ」
―え?―
「どうだ、ここはわしの提案にのらないか」
「てい、あん…」
「そうだ。わしの力となれ。きさまが殺生丸さまたちとつるむ理由もなかろう」
「な!!そんな提案のりません!」
しかし奈落は薄い笑みを浮かべ、余裕の表情をしている。
「まあ聞け。殺生丸さまは真の妖怪。きさまのような人間など、いつでも殺せる。つまりきさまはいつか捨てられる定めだ」
「…」
「それにきさまの本性を知ったらどうなるか…。想像出来ないわけではあるまい」
「つっ!!!」
また、私の秘密を!
何故…。
「殺生丸さまはきさまのことなど何も思ってなどいない」
「…」
―殺生丸さま…―
「わしの手をとれ」
―私のことをいつかは―
「わしならきさまを必要としている」
―捨ててしまうの?―
「わた、しは…」
足がガクガクと震える。恐い。また一人になってしまうのが…。とても恐い。
私が陰陽師だと知ったら邪見は…殺生丸さまは私のことを…。
「わしの手をとれ」