主人と僕の旅路 3
□あの世とこの世の境
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「待って殺生丸」
かごめちゃんが殺生丸さまを呼び止める。
「あなたの刀…、天生牙って…確か命をつなぐ刀だって…」
「!」
そうだった。そういえば私は殺生丸さまのおかげで今、ここにいられるんだもんね。
「お願い。天生牙でおとうさんを…」
「私には関わりのないことだ」
そこにザッと殺生丸さまの前に七宝ちゃんが飛び出してくる。
「あ、あのっ…。たっ…、助けてやってくれんかのう」
七宝ちゃんの体は小刻みに震えている。それでも七宝ちゃんは話を続ける。
「おとうが死んだら、甘太はひとりぼっちじゃ」
カワウソの妖怪はお父さんの首にしがみついてすすり泣いている。
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「父様!」
徐々に呼吸が荒くなっていく父様をただすすり泣きながら見ていることしか出来ない。
「父様…。父様がいなくなってしまったら、私は…」
一人ぼっちになっちゃう。もう、安倍家の生き残りは私しかいない。
父様は芦屋家に行けって言うけれど、でも…。きっと父様の代わりなんてどこにもいない。
お願い、父様。
―一人ぼっちにしないで…―
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