主人と僕の旅路 3
□涙の理由
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ザワ…と風が横切る。
「あの、私が陰陽師だってことは…。その、知ってるとは思うんですけど。私、安倍晴明の子孫で」
「晴明って!!あの最強と言われる陰陽師かっ!!」
邪見がバッと勢いよく立ち上がる。
「鈴…、意外と大物なんじゃな」
大物って…。
「とにかく、安倍晴明の子孫で。安倍晴明は狐の妖怪と陰陽師の子供なんですけど。それがいけなかったみたいで…。安倍の血は早死にしやすいんです」
ザワザワ…っと先程よりも強い風が頬を撫でる。
なんだかとても寒い気がする。
「早死にしやすい…」
殺生丸さまは眉をひそめながら、言葉をつむぐ。
「妖怪の血のせい、か」
「あ、はい。陰陽師の血と妖怪の血は相性が悪いみたいで。早死にしやすいんです。母は私が産まれてすぐに亡くなってしまって。親戚もいなくなっていって。最後に残った父も…皆いなくなってしまったんです」
「…」