主人と僕の旅路 3

□涙の理由
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殺生丸さまも邪見も真剣に私の話を聞いてくれている。

「だからあの時、カワウソの妖怪が父親がいなくなって一人になっちゃうって思ったら…」

私は芦屋家に迎え入れてもらえたけど。でもあの妖怪は長い間一人でいるのかと思ったら。

「感情移入しちゃって。悲しくて…。無意識のうちに泣いちゃったみたいです」

今更ながら泣いたことが恥ずかしくなって、エヘヘと気味の悪い照れ笑いをしてしまう。

そんな気味の悪い照れ笑いの中、邪見の「なるほどなー」と言う声が響く。

「だから会った当初はあんなに一人になるのを嫌がってたわけか」

「あー、お恥ずかしながら。自分でもわかっているんだけど、トラウマみたいなもので」

ポリポリと頬をかく。

その時、横から細くて長い手が私の頬を触る手と重なる。

「えっ!?」

―殺生丸さま!?―

あまりに突然のことで体が固まる。というよりも動きたくても体の方が動かない。

殺生丸さまを見ることが出来なくて、私の視線だけがせわしなく動く。
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