主人と僕の旅路 3
□帰還
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―殺生丸視点―
殺生丸は鈴を俵のように担いだまま、来た道を戻る。
そしてあの世に来た時と同様に、門をくぐる。
「お、お待ちくだされ。殺生丸さま」
邪見の騒がしい声を無視して、鈴をゆっくりと地面におろす。
「鈴…」
ゆっくりと手を髪に伸ばす。
幸い、まだ息はある、か…。
人間のことなど、どうでもいい。だが…。
鈴は…。
鈴にだけは…。
―出会った時のように―
―笑っていてほしい―
―主人公視点―
「鈴」
よく知った人の声が聞こえる。
この声、は…。
「せっしょ、まる、さま…」
私は固く閉じていた瞼を開ける。
一気に光が差し込んで、殺生丸さまの顔が映りこむ。
「あの…。殺生丸さま?」
何故殺生丸さまが私の顔を覗き込んでいるのか…。
それにこの場所、あの世とこの世の境をつなぐ門?
私、一体どうしたんだっけ…。