主人と僕の旅路 3

□帰還
2ページ/7ページ

―殺生丸視点―

殺生丸は鈴を俵のように担いだまま、来た道を戻る。

そしてあの世に来た時と同様に、門をくぐる。

「お、お待ちくだされ。殺生丸さま」

邪見の騒がしい声を無視して、鈴をゆっくりと地面におろす。

「鈴…」

ゆっくりと手を髪に伸ばす。

幸い、まだ息はある、か…。

人間のことなど、どうでもいい。だが…。

鈴は…。

鈴にだけは…。

―出会った時のように―

―笑っていてほしい―





―主人公視点―


「鈴」

よく知った人の声が聞こえる。

この声、は…。

「せっしょ、まる、さま…」

私は固く閉じていた瞼を開ける。

一気に光が差し込んで、殺生丸さまの顔が映りこむ。

「あの…。殺生丸さま?」

何故殺生丸さまが私の顔を覗き込んでいるのか…。

それにこの場所、あの世とこの世の境をつなぐ門?

私、一体どうしたんだっけ…。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ