主人と僕の旅路 3
□好きな人
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しばらく殺生丸さまの後を付いていくと、村の方に出る。
大きな湖がある。キラキラと光り透き通っていて美しい。
近くに祠もあるし、きっとこの湖の主は村の人々から慕われているんだろう。
しばらく湖の淵に沿うように歩いていると、なまずの妖怪が暗い雰囲気でしゃがみ込んで何やら呟いている。
耳を澄ましてみると、どうも「志麻どの」とか「信じてた」とか「妻が」とよく分からないことを呟いている。
ドキドキと高鳴る胸を抑え、殺生丸さまを横目で見ると、なまずの妖怪を気にもせず悠然と歩いている。
するとなまずの妖怪もこちらに気付いたのか、目線を上にあげてこちらを見る。
私とほんの少し目が合った瞬間、なまずの妖怪の目がキラリと怪しく光る。
「これは…清らかな乙女…」
清らかな乙女?って…。この状況なら私のこと、だよね?
「わしはこの湖の主」
「…」
殺生丸さまはやはり気にもせず、歩いていく。それに対して湖の主と名乗るなまずの妖怪も殺生丸さまを気にすることなく、私を見つめている。
???
さっきから何なんだろう…。
そう思った矢先、なまずの妖怪が巨大化しこちらに一瞬でやってきた。
「!!!」
「もう誰でもええ。おぬしをわしの妻にしてやるわ〜!!!」