〈書庫 妄想の塊1〉
□流石は
1ページ/2ページ
流石は元主人公!!
弓兵×女主人公。
私、岸波白野はとある計画を実行するか、否か、考え込んでいた。
場所はここマイルーム。
今日のアリーナ探索を終えて、一時の休憩をとっている真っ最中だ。
私のサーヴァントであるアーチャーは、ベットに座っていつも通り、武器の解体?のようなことをしている。
この時のアーチャーは、凄く真剣なんだけど、どこか楽しそうな表情をしている。私はそれを眺めるのが、地味に好きだったりもする。
計画を実行するには、またとない絶好のチャンスだ。
……実は。昨日(ここには時間の概念がないから、昨日、明日なんて表現は不適切だが)の帰ってきた後も、ただ一つの条件を抜いては、絶好のチャンスだった。
(そうだ…昨日もこれで諦めたんじゃないか、頑張れ白野!!)
ただ一つの揃わない条件。
それは私の心の準備の方だ。
(やりたいけど…。やりたいけどっ!!…。)
あと一歩、あと一歩が、踏み出せない。
もうどうにでもなっちゃえ!!と、自暴自棄になってGOサインを出す心と、そんな心にツッコミをいれて、全力でブレーキをかけようとする理性。
私の中で、赤壁の戦いもなんのそのな勢いでせめぎあっている。 いい加減そうまでしても、踏ん切りがつかない自分に嫌気がさしてきた。
終わりの見えない不毛な争いに、私の脳内はキャパオーバーをおこして、戦闘不能になった。
もう何にも考えたくなくて、部屋の隅っこに体育座りをしてうつむいていた。
(もう疲れたよ、パトラッシュ…)
自己嫌悪で変な幻聴まで聞こえだした。
「マ、マスター? 具合でも悪いのか、昨日からなんだか思い詰めたような顔をしているが…。」
す、と肩に大きな手が置かれた。 アーチャーはいつの間にか私の隣に来ている。
つられて顔をあげて見ると、心配そうに覗きこんできていた。
「顔色は…悪くないみたいだな。ひとまず良かった。…にしても、どうしたんだ、マスター。」
(今が、最大のチャンスだ…岸波白野。ここを逃したら、)
目の前にアーチャーがいる、この状況が酷く遠くの事のように思える。
「マスター?」
(後はないっ!!)
吹っ切れてしまった私の行動は素早かった。
(え、MK5ッ!!)
「っ!?」
がっと両手を伸ばし、アーチャーの両肩に手をかける。
急な行動に驚いて反応出来てないアーチャーに私は、そのままの勢いで―――――
キスをした。