*捧げ物*
□『桜色季節』
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「あー、くそっ、マジ何にも思いつかねぇ・・・。」
机の上に広げた紙を、ボールペンの先でトントンとつつきながら、ランディーははあ、と溜め息をついた。
紙の上には『クラス交流会計画』と題がつけられていたが、その他は白紙のままだ。
今日に限ってみんなそれぞれに用があるらしく、今はランディー一人。
三人寄ればナンとか、とは言うが、逆に言えばそれは一人じゃ何も出来ないということにはならないか。
そんなどうでも良いことに意識を向け、ランディーはボールペンの先をを出したり戻したりを繰り返し始めた。
「大体、何で俺がクラコン幹事なんだっつの。
シンディーめ・・・。」
ランディーは少々恨めしそうに呟き、数時間前に自身の目の前でクラコンクラコンと騒いでいた従兄弟の姿を思い浮かべる。
普段、彼に振り回され気味なカイルの気苦労がよく分かる、そんな立場に今自分がいることに、ランディーは再びため息をついた。
誰もいない教室、オレンジ色に染まり始めた机と、その上に広げられた白い紙。
より明るい場所を探して、窓際の席に移る。
ガタンと、椅子が大きな音をたてた。
けれどその音もすぐに、シンとした空気に飲み込まれていく。
日が延びたなと、冬の同時刻の外の様子を思い浮かべながら、頬杖をついていた手を伸ばし、窓を開ける。
「あ。」
ふいにザア、と風が吹いて、一枚の花びらがひらひらと紙の上に着地した。
ピンク色のそれをじっと見ていたランディーの顔が、ぱっと明るくなる。
「これだ・・・!」
慌てて、少してこずりながら、ランディーは紙の上にペン先を走らせた。