短編置場

□《妖》シリーズ
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ひらり舞う
水面の銀月よりも

すっきりと
磨きあげた銀の器よりも

私が美しいと思うのは──…



【銀―しろがね―】



すらり

脇に置いた鞘から愛刀を抜き放つ。月光を受けてきらめく様は、その辺りにいるどの女よりも美しい。

うっとりと。
掲げた刀身に見入る。

美しい。

もしもこのうつし世に、この手にある輝きよりも美しいものがあるとするなら、私は、どのようなことをしても手に入れたいと欲するだろう。

…おや、庭に狐が来たようだ。
我が館には、少し前より珍しい客が増えた。代わりに人の訪れは無きに等しいが。


「何度言えば判るのじゃ、人間! わらわは誇り高き妖狐。人語も解せぬただの獣と一緒にするな!」

銀狐。
月光を浴びて青色を帯びた銀の毛並を見せつけるように、九つの尾を揺らしながら庭をこちらへ歩いて来る。


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