【紅一点】
その国は通称を、西国〈さいごく〉といった。
防御において鉄壁を誇る用心棒により、未だ不可侵を崩さない国。
かつての戦の終幕より、その内情は変化していた。国を護るだけでなく君主を護る為に、側近の護衛が付いたのだ。
用心棒の名は、柳・那汰郎〈ヤナギ・ナタロウ〉。彼には守護者が一人いる。名を、奈多等〈ナタラ〉という。
柳にとって目の上のこぶのような存在が、君主の側に仕え御身を護る女だ。名を、椿・沙々羅〈ツバキ・ササラ〉という。
柳と奈多等と椿と君主。
外と交流を持たない内輪だけの国に、ある日、外からの訪問者が入ることになる。
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