瑠璃の祭壇

□夏祭り 忍×菊 編
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「たこ焼き、食べたい。」両手に綿菓子やら飴やらを握り締めた菊丸がそう言う。
「自分、食べ過ぎやで。」
少々うんざり顔の忍足はそれでも財布を取り出した。
「じゃ、半分コしよ
立ち並ぶ屋台の一つに並びながら菊丸が言うと、
「俺は食べへん。」
そう忍足は言葉を返した。
「えー!?、なんでぇ?」
大袈裟に声を上げた菊丸に忍足は肩をすくめる。
「関東のたこ焼きは、作りが甘いんや。」
「そうなの?」
「そうや。」
手際良く作られていく丸い物体と、忍足を見比べて菊丸は首を傾げた。
「オレには同じに見えるけどなあ。」
「見た目だけじゃのうてやな…。」
「あー、タンマタンマ!。わかったから、たこ焼き買って?。」
「あのなぁ……。」
長い蘊蓄の出鼻を挫かれて、忍足は不満げに菊丸を見やったが、
「……おっちゃん、たこ焼き一つ。」
可愛らしくうわ目使いでおネダリする少年の姿にデフォ負けしたらしく、黙って財布から小銭を掴み出したのであった。
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