禁断の扉

□紳士と詐欺師
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「柳生、ふざけてないではよ着替えんしゃい。」
「ふざけてなどいませんよ?。私は真剣です。」
言葉に反して柳生はくすくす楽しげに笑いながら仁王を部室の床に押し倒した。
それは傍から見れば不思議な光景。床に押さえ付けられ不満げに顔をしかめるのは仁王。だが、楽しげに笑いながら相手のユニフォームに手をかけたのも仁王。どちらも同じ人物に見えた。
声と口調を除いては……。
「ヤりたいんなら抵抗せんけぇ、その格好はやめぇや。」
ポロの隙間から手を差し入れる相手の肩を押し返し、めずらしく嫌そうな顔をして仁王が身を逃がそうと力を込める。
「私はこの格好でシたいんです。刺激的でしょう?。」
「柳生!」
嫌がる相手の顔を満足そうに見下ろして、服の中をゆるく撫で回し、
「自分に組み敷かれるのはどんな気分です?仁王くん。」
「どうもこうもないが、退けや。」
強く押し返そうとする両手を捕まえて柳生は仁王を標本箱の綺麗な蝶のように床にはりつけ、
「い、たい!、やぎゅ!。」
「静かに。」
もがく仁王に構うことなく囁いてゆっくりと上から唇を重ねる柳生。唇を撫でるように舌を這わせ隙間から差し入れて歯列をなぞるが堅く閉じられたそこに開く気配は無く。
「んぅ……。」
「仁王くん、口を開けたまえ。」
「……ヤじゃ。」
「素直じゃありませんね。」
「………。」
無言の抵抗をする仁王に柳生はすっと目を細めて両手を解放すると同時に相手のユニフォームの胸ぐらを掴んで力任せに左右に開いた。
「っな!何すんじゃ!?。」
ボタンが弾け飛び床に当たって硬い音をたて布の裂ける音が部屋に響いて仁王は慌てて声をあげるが対する柳生は
「あなたもやっていたじゃありませんか、切原くんに。」
涼しい顔で顕になった相手の肌を指先で撫で満足そうに笑ってみせた。
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