瑠璃の祭壇

□花火
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「早かったのぅ。」
家から出てきた柳生を見て仁王は嬉しそうに笑う。
「こんな所で花火をされては困りますから。」
少し乱れた息を整えながら咎める口調で柳生は仁王を睨んだ。
「そんじゃ、この先の公園でえぇかのぅ。」
「音のするものは止めてください。近所迷惑ですからね。」
「はいはい、分かっとーよ。」
大人びた物言いに軽く肩をすくめ仁王は柳生を連れて歩き出す。
深夜に近い道路はもちろん、到着した公園もしんと静まりかえっていた。
時折、風が影絵のような木立を揺らしてゆく。
「このあたりでええか?。」
ビニール袋を振り回しながら水飲み場の近くで仁王が立ち止まり黙ってついてきた柳生を振り返る。
「構いませんよ。」
終始楽しげな相手の様子に目を細めて柳生は答えた。
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