瑠璃の祭壇

□花火
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「ほんじゃ。」
しゃがんだ仁王は袋から色とりどりの花火を取り出し、地面にろうそくを立てて火をつける。
「柳生はどれがええ?。」
「どれでもいいですよ。」
「ツマラン返事じゃのう。」
「ではこれを……。」
たくさんの花火の中から柳生が手にしたのは10本ほどにまとめられた線香花火の束だった。
「地味……。」
「貴方はお好きなものをご自由にどうぞ。」
「俺にも半分。」
鼻じらんだように柳生の手元を見た仁王だが、唇を尖らせて線香花火の束をほどきだした相手に慌てて手を差し出す。
「仁王君は地味なものはお嫌いでしょう?。線香花火なんてつまらないですからおよしなさい。きっとすぐに飽きて……。」
「はんぶん!。」
嫌味たっぷりに言いながら身をよじって花火を隠そうとする柳生に仁王はダダッコのように詰め寄ると、ずいと手のひらを差し出して催促した。
「…………。」
じろっと相手を見やった柳生は小さくため息をつくと渋々といった動きで花火を半分とりわけ仁王の手に乗せる。
「サンキュ。」
仁王は満足したようににっこりと笑い早速ロウソクの脇にしゃがんで火を点けた。
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