逆門2

□壱萬打企画。(完)
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むかしむかし、とある森の中、白雪姫と呼ばれるそれはそれは可愛らしい人物が、硝子の柩の中で覚める事のない眠りについておりました。
周りには、白雪姫が大好きだった7人。

皆が、白雪姫の死を、嘆き、悲しんでいました。


越しの

白雪姫…名前は、三志郎といいます。
名前からも分かるように立派な男の子なのですが、まぁいろんな理由で姫と呼ばれていました。

え?どうして唐突に白雪姫が死んでるかって?
…しょうがないじゃないですか!
初めからはじめようと思ってもお妃様は三志郎をいじめてくれないし、むしろ溺愛してるし、それに…

「鏡よ、鏡、世界で一番美しいのはだぁれ?」
『それは白雪姫、姫こそが一番美しい』
「まぁ!そうよね!三志郎が一番に決まってるわvv」

始終こんな調子で毒林檎で殺そうともしてくれないのですから。
だから、お話を先に進めるための仕様です。分かりましたか?

分かっていただけたのでしたらば先に進みましょう。

小人達は悲しみの涙を流しながら、もう二度と目を覚まさない三志郎を、この後どうするか話し合っていました.

「焼いてしまうのはイヤです!」
「それは私も同感よ。でも…土葬もイヤ。だって…今にも起き上がりそうなくらい穏やかな顔してるのよ?この中で、三志郎に土をかけられるの、いる?」

小人の一人、亜紀が周りを見回しながら問いかければ、小人達は皆一斉に首を振ります。
起きてきそうな顔をしている、と言うことも有りますが、土をかけてしまえば、三志郎が死んだと、認めてしまうことになるからと言うのが一番の原因なのでしょう。

「だからといってこのまま外においておくわけにも行きませんし…」
「なら家に入れるか?防腐処理でもして」

黒とロンドンの言葉に、小人達はそうしよう、と頷きます。
どんなに可笑しな行動だといわれても構わなかったのです。
少しでも、三志郎と共に在れるのであれば。

それならば柩を中に入れようと、小人達は柩を持ち上げました。

その時です。

「オイ、そのガラスの中身は何だ?」

白馬に乗った王子様が…王子様?

「誰ですか、あなたは」
「…変質者…?」
「きみどり!」

小人達が訝しげに男を見上げます。
その男、名前は不壊と云い、確かに立派な王子なのですが、如何せんその格好が怪しすぎました。
長く、癖のある銀髪、鋭く射抜くような赤い瞳、顔立ちはすっきりとしていて、確かにかっこいいでしょう。
ですが、格好は素肌に真っ黒なコート一枚です。
どうして王子なのにこの格好のままなのかと問われれば、想像してみたらもうどうしようもなく笑えるビジュアルにしかならなかったからです。
現に作者は現在進行形で 笑 っ て い ま す 。 

あぁ、話がそれてしまいましたが、きみどりの云ったとおり、一見すると変態にも見える格好を、この王子はしていたのでした。

きみどりの言葉に、不壊は不機嫌そうに顔をゆがめながらも答えました。

「俺は不壊、一応王子だ…間違っても変質者なんかじゃねぇ。で?その中身は何だ?」
「僕たちの大切な人の遺体だ」

修がそういうのを聞きながら、不壊は柩を覗き込み、固まってしまいました。
そして、わなわなと震えながら側にいた小人を捕まえて叫びます。

「この柩を中身ごと俺に譲ってくれねぇかい?!」
『『『イヤ(です)(よ)(だ)』』』

しかし、小人達は即答しました、冗談じゃないと、大切な三志郎をこんな怪しい王子なんかに渡せるか、と。
なんだか色々必死です。

「たのむっ!」

頼み込んでくる不壊に、黒は言いました。

「三志郎君の遺体を持ち帰ってどうするつもりですか?まさかネクロフィリアなんですか?死体しか恋愛対象に見れないと?一国の王子がそんなことでいいんですかねぇ?」
「王子が異常性嗜好の持ち主…国もお終いですね」
「と、云うか、そんな王子…どんな教育受けたんだよ」

好き勝手言ってくる小人達に不壊は小さく震えています。
一応、名誉の為に言っておきますが、不壊はネクロフィリアではありません。ただ、柩の中身が自分の好みにど真ん中ストレートだったのです。
好きな人が偶々遺体だった、ただそれだけなのです。(それもどうかとは思いますが)

そんな調子で、死体でもいいから三志郎を連れて帰りたい不壊と、何が何でも変態っぽい王子なんかに大切な三志郎は渡せない、渡したくない小人達。
どちらも譲らない言い合いは、そのうち乱闘になり…怪我人も出るようになってしまいました。

そのハチャメチャ騒ぎの中で、ゆっくりと身体を起こす影一つ。

自分の目の前の障害物を押しのけて、その人物は口を開きました。

「お前ら…静かにしろ!!」

シ…ン…

まさに鶴の一声です。その一言であたりは静まり返ります。
その、声の持ち主は。

『『『三志郎(君)?!!?』』』

今の今まで硝子の柩の中で死んでいたはずの三志郎でした。
どうやら、この乱闘騒ぎに魂を無理やり引き戻したようです。

これは御伽噺なのですから、その辺、深く考えてはいけません。

驚いている小人達を他所に、不壊の行動はとても早いものでした。
コンマ何秒の勢いで三志郎の前まで来ると、ギュッと手を握って真顔で告げます。

「俺と結婚しねぇかい?!」
「…オレ、男だぜ?だから無理だろ」

スッパリと言い切って、不壊の誘いを三志郎は断る。
その言葉に…さてさて、この王子様は簡単にあきらめたのでしょうか?


好みのど真ん中ストレートなら、死体ですら構わないと言った彼ですもの。
性別くらいが障害になるとは、とても思えませんよねぇ?

End.



■後書■

書いてて楽しかったのは確かですがグダグダにも程があるぜ、的なお話(笑)
白雪姫って絶対王子様ネクロフィリアだと思うんですよね…死体をもって帰るくらいですし(笑)
それとも実は生き返ることを知ってたんでしょうかねぇ?

まぁ…キャストは出てきたとおりですが、小人は適当に当てはめてもらってもいいかもしれません(笑)
それでは、少しでも楽しんでいただければ幸いですv


これにて壱萬打企画コンプリートなのですわ!(誰)
…何とか今年中に間に合った(ほっ)

2007/12/30



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