逆門2

□壱萬打企画。(完)
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「駄目だ…眠れねぇ…」

月が煌々と闇を照らす、今宵望月。
ちょっとした用件で出かけたその夜。宿も見つからずに野宿をすることになった三志郎は、一度は横たえた身体を起こして溜め息を付いた。

き昔の記憶に苛まれ。(眠れぬ夜は僕と夢を)


どうも駄目だ。
人の気配は。

三志郎はひっそりと溜め息を付く。
どうやら、不壊は自分が起きた事に気づいていないらしい。

それならそれで結構、いや、それこそ好都合。

気付かれて、「明日も早い」だとか「早く寝ろ」だとか言われても、今の三志郎には如何する事も出来ないのだから。
何より、自分を気遣って、付き合って、一緒に起きていてくれそうだから。だからイヤなのだ。
不壊には出来るだけ心配をかけたくない。




幼い頃、小刀を握り締めて寝る癖があった。
自分は命を狙われていたから。

一年前、不壊に拾われるまで自分は孤児(みなしご)だった。
母も、父もいない。血縁者もいない。

ただ、自分の命を狙う輩だけは、ごまんといた。


だから、なのだろう。

時々、人の気配に過敏に反応してしまう。
巻き込まないように、今でも僅かではあるが自分を狙う輩は居るから。
だけど、不壊はオレが命を狙われてる、なんて知らないから武器を持って歩く事なんてできない。

何故かは知らないが、不壊はそう言うものに対しては敏感だ。
この間なんか、カッターナイフが鞄の中に入っているだけで凄い剣幕で『何を持っている?!』と言われた。
大きな工作用カッターじゃない。小さな手のひらサイズのカッターだったのに、だ。

短剣なんて持っててみろ。絶対凄い剣幕でド叱られるに決まってる。

「…兄ちゃん…?如何した?眠れねぇのか……?」

どうやら不壊が気づいてしまったらしい。
なんでもないと嘯いて(うそぶいて)、おやすみ、ともう一度横になった。

恐らく、眠れはしないけれど。

「おやすみ…兄ちゃん。明日は朝になったらすぐ家に戻るからな」
「ん…分かってる。おやすみ、不壊」

そう言って、目を閉じた。
眠れなくても、目を閉じてじっとしていればそのうち日が昇るだろうから。

だけど。

「…不壊?」
「ちょっと肌寒いもんでね…おー、兄ちゃんはあったけぇなぁ…さすがお子様」
「お子様言うな!」
「お子様だろ?」

ギュゥ、と抱き込まれて、じんわりと不壊の熱が伝わってきて。
絶対眠れるわけが無いと思っていたのに、ストンと眠りに落ちた。


眠りに落ちた三志郎は知らない。

不壊がそんな三志郎に笑みを零しながらも、近くの木の幹に向かって何本かの短剣を投げつけたことを。

「失せろ…下衆が」

三志郎も見たことの無いくらい冷たい目、冷たい声でそう言い放った事を。



実は不壊が、三志郎を護る為に傍に居ると言う事を。



人の気配が辛くて眠れないと言うのなら、包んでしまおう、僕だけで。
僕に包まれて眠ると言う事は、僕に気を許していると捉えても…かまわないよね?

End.




い…意味がわからねぇ!!!(先ずそれか)
最初は普通にげぇむが終わって野宿の三志郎が興奮収まりきらずに眠れないから不壊がベッドになってあげるよ的な話だったんですが…

何故か途中で『あ、退治師パラでもいいかも…』と思い立ち、最終的にはわけのわからない代物に。

三志郎は何故か命を狙われていて、一年前に不壊に拾われました。
でも三志郎は知りません。
不壊に拾ってもらってから三志郎の命を狙う輩が減ったのはこっそり不壊がお掃除してるからだと云う事を。

そして不壊も知りません。
三志郎が実はダーツやらせたら的を絶対はずさない事を。(つまり強い)

まぁこんな感じの自己満足品(笑)


少しでもお楽しみいただけましたら幸いです♪

2007/10/02


ところで…『ド叱る』って…方言ですかね?
ちょっと気になるなぁ…



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