頂き物

□罰ゲームは墨まみれ?書類まみれ?
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「だあっ!」
「とうっ!」
「まだまだ!」
「なんの!」

掛け声の押収。
部屋に充満する熱気。
響き渡る打撃音。
まるで戦場のような雰囲気。
だが、実際は命がけの欠片もない事が繰り広げられていた。
ここは魔界。
その中にある国の一つ。
そして国王である魔王の城の最奥。
魔王である少年とその従者にとって、少し特別な部屋。
この国で唯一、魔王である少年に普通に接する従者。
それは恐れ多くて誰も出来なかった行為。
そして、その従者は魔王である少年にそれを許されているこの国唯一の存在。
もちろん、二人きりの時だけだが・・・

「なかなかやるねぇ」
「そっちもマジだね」

彼らが今しているのは羽子板対決。
どこから持ってきたのか、魔界にあるはずの無い物を持ち出し、従者:不壊に対決を持ちかけた魔王:三志郎。
一癖も二癖もある三志郎の申し出を不壊が素直に受けたのは、三志郎に条件を出したから。
この対決に不壊が勝ったら溜まっている書類を処理する事。
魔王としての仕事は色々ある。
だが、三志郎は机に向かうと言うのが苦手らしく、書類の類は嫌がって逃げ出してしまう。
それでも仕事が無くなる事は無い。
溜まる一方。
部下で処理できるものはするが、魔王の承認がいるものもある。
どうしても三志郎にやってもらわなくてはいけない。
そんな時に三志郎が言い出した羽子板対決。
ちょうど良いとばかりに不壊は条件を提示した。
ちなみに三志郎が勝った場合は、不壊の顔に墨で落書き、そのまま1週間過ごす事になる。
三志郎は魔王なので、こんな事で条件を突きつけなくても大概のお願いと言う名の我が侭は実行に移される。
なので、純粋に罰ゲームをする事になった。

「そろそろ諦めろ」
「冗談じゃねぇよ」

かれこれ打ち合いを初めて数時間。
よく続くと思う。
それも、ハネがあまりの速さに見えないほどのスピードで打ち返しあっている。
レベルが違う。
さて、決着がつくのが先か、羽子板やハネが耐え切れなくなって壊れるのが先か?
その後、更に数時間、この状況が続いたと言う。
結果は・・・本人たちだけが知る。


End.
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