逆門2
□チョコレートで7題。
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きざむ。
かち、こち、かち。
正確に、狂うことなく、刻み続ける時。
願わくば、正確なその秒針が、ほんの僅かでも狂いますように。
「三志郎。」
「ん?」
どうかしたか?と、こちらに顔を向けてきた三志郎に、亜紀は小さく笑った。
そして。
「はい、バレンタインチョコ」
「え、くれるのか?」
驚いたように(でも、その瞳の奥に嬉しそうな光が入っていることを知っている)尋ね返してきた三志郎に、勿論。と亜紀は頷き、嬉々として包装を解いてチョコレートを口に運ぶさまを見ていた。
「!」
驚いたようにこちらを見た三志郎に満足そうに笑う。
きっと、想像もしてなかったのだろう。チョコレートの中に、日本酒が入っていることなど。
「味はどう?」
「うまいっっvv」
満足そうに、これ以上ないくらい口元を緩ませた三志郎に、亜紀も同じように口元をほころばせた。
「気に入ってもらえて、良かった」
「チョコレートと日本酒がこんなに合うとは思わなかったぜ…良い発見した。次はつまみ、チョコレートにしよう」
チョコレートをつまみあげて、三志郎はそう言って頷いた。
「ってアンタ、日本酒好きなのは良いけど、子供が飲むものじゃないわよ?」
まだ未成年でしょ。
呆れた様子の言葉に、三志郎はチョコレートを頬張りながら事も無げに告げた。
「何言ってんだよ亜紀。オレ、こう見えても22だぜ?」
辺りに絶叫が響いたのは、言うまでも無い。
(じゃぁなんだっていうの?私は、10も年上の人、に!)
End.
□後書□
バレンタイン企画第一弾っっ(笑)
自作お題で短編集。(笑)目指すはsss!(え)
今回はバレンタイン、と言うことで総勢7本。女の子×三志郎でこなして行きたいと思います(笑)
日本酒チョコレートは実際にありますが、泉はウィスキーボンボンやバッカスで咽るので食べたことがありません。
…残しても母が日本酒駄目なので捨てるだけですし(苦笑)
さて、ずばり今回のコンセプトは。
最後のどんでん返し(?)までごくごく普通の亜紀三だろ思ってもらえたら万歳!
です(笑)
引っかかっていただけましたでしょうか?
ではでは。少しでもお楽しみいただけましたら幸いですの♪
2008/02/15
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