□距離
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「俺と付き合って下さい」


中学に入ってどれほどの人に言われただろうか。
いい加減告白に付き合ってやるのも疲れた。


「あー、俺そういうの興味ないから。」
「でも、付き合ってみたら好きになるかもだろ!?」
「付き合い始めて持つ好意なんて好きじゃなくて同情と慣れだろ?
かったるいから教室戻る」


また今日も、ばっさり切り捨てられた男は唖然とするばかりだった。



正直、自分でも綺麗な方だとは思う。

短い黒い髪。
白い肌。
桜色の唇。

でもね、好きなひとに振り向いてもらえないなら何一つ必要のない物だ。




幼なじみ。


近いようで遠いその関係は多分、未来永劫変わることはないだろう。



「‥‥ばっかみたい」



気持ちばかり加速していきどうしたらいいのかわからない。



渡り廊下を歩いていると、中庭の方に木に隠れた男女が二人。

キス、してた。




「‥浜田、先輩‥‥」


楽しそうに笑う二人を睨むように見ると、一瞬浜田先輩と目があった。向こうが気付いたかわからないけど、俺は無意識にその場から逃げるように走った。



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