その他

□二人の夜で五題
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情事の後、繋がったまま泉を抱きしめたら腕の中で小さな寝息が聞こえた。

(無理させたかな‥‥)

顔を覗き込むと目尻に溜まった雫が一粒流れた。


俺達がこういう関係になったのは二年前で、一年前に別れた。
高校になって関係は戻ったけど、離れていた一年を取り戻すことはできなかった。

彼が違う誰かと躯を重ね、俺も違う誰かを抱いた。"代わりになるモノ"を求めていただけ。

自業自得なのにこんな泉を見てると不安で仕方ない。
誰にでもそんな無防備な姿を見せるんではないか。
誰でも簡単に受け入れるのではないか。


「‥ん、浜田?」
「あ、目覚めた?」
「俺寝てた?」
「寝てた。大丈夫?わりぃな無理させた」
「大丈夫だからコレ抜いて。」


そういえばまだ繋がったままだったことを思い出し、泉の中から取り出す。泉は小さく声を漏らした。
額に張り付く前髪を除けてキスすると、泉は俺に手を伸ばした。
その手をとり手の甲に唇を落とす。


「浜田の手、好き。」
「手だけ?」
「‥‥ばーか。」


照れて悪態をつく泉が可愛くて、手を握ったままもう一度キスをした。
眠りにつくまでこのまま繋いでいよう。


(君が何処へも行かないように‥‥)
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