□願い
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「オイ」
「んー‥‥」
「何あからさまに落ち込んでんの?また、泉ちゃん関係?」
「何言ってんだよ梶山。
こいつが泉ちゃん以外のことで悩むわけないじゃん」


失礼だと梅原に反撃したいが、図星なので何も言えなかった。


「で?今度はいったい何したんだ?」
「‥‥襲っちゃった。」
「「はぁ!?」」


がたんと大袈裟な音をたてて二人は立ち上がった。


「おま‥いくらなんでも襲ったって‥‥」
「ってか、浜田。お前下手したら殺されんだろ?」
「でも、未遂だし‥」
「「そういう問題じゃねぇ!!」」
「んなの、一番自分がわかってるよ‥‥」



傷つけたくないはずなのに、いっそ戻れないトコロまで落としてしまいたい。

俺だけしか見なくていいように閉じ込めてしまいたい。


なんて浅はかで馬鹿な考えだろうか‥‥



「‥もう、笑ってくれないかもしれない‥‥」



彼女の落としたスカーフを見ながら、俺には珍しい程の弱音を呟いた。



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