□歩調
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「(九組、九組‥‥)」


悩んでも仕方ないと割り切って迎えた入学式。
クラスを探してフラフラしてたらなんか妙に視線を感じて振り返れば浜田がいた。


「泉ー♪」
「なんでいんだよ。教室帰れ。」
「泉に会いたかったの」


何を言っているんだろうかこの男は。
どうせ家に帰ればいくらでも顔を合わすのに。


「で?何組だった」
「九組。」
「九組?シガポのクラスじゃん!」
「シガポ?」
「野球部の顧問。」
「へー」


さりげなく繋がれた手がなんだか振りほどくのは勿体なくてそのまま浜田に連れられて九組へ向かった。


「シガポー」
「なんだ浜田。暇そうだな。部室のそうじ「勘弁してください!」」
「はは、」


教室の中には疎らにしか人はおらず、とりあえず出席番号通り窓側へ向かった。


「あ、泉。」


浜田は俺の前の席(まだ来てないらしい)に座ってニコニコしながらただ俺わ見るだけ。


「何?」
「なんか高校生活を泉と過ごせるの嬉しくて♪」
「あのさ、そこ俺の席なんだけど」
「あ、わりぃ!」


浜田は、前の席の奴も来たし、先生にも促され渋々教室へ帰っていった。



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