Tales of miracle

□第七章 語られる真実
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 扉の奥は今まで通ってきた洞窟や箱庭と違い、まるで工場のような場所だった。無機質な機械が轟音を発し、通路は2人分ほどの細さしかない。
 そこをジールが早足に進み、その後ろから驚いたり警戒している様子の6人がついてくる。
「すごい場所…。こんな高度な機械、見たことないわ」
「ここは本当に海中なのかよ?信じらんねえ」
 アリシアとミューラが言った。
「一体、ここに何があるというのだ」
「誰かいるのかな…?」
 それにリオとリエンも続く。
「それを、ジールが知っているみたいだが…」
「とにかく、今はジールについて行くしかない。みんな、警戒を怠らないように」
 最後尾のラキとアーネストが言う。周囲を絶え間なく見回している6人と対照的に、ジールはまっすぐ前だけを向いて歩いていた。
 しばらくして、通路の先に鉄製の扉が現れた。先頭のジールが扉に触れると、扉は自動で開いた。そしてためらう事なく、ジールは扉をくぐる。
「ここは…?」
 アリシアが扉をくぐって呟いた。さらに後ろの5人も中へ入ると、鉄の扉が閉まる。
 そこは床も壁も天井も全て機械で埋め尽くされた、広い部屋だった。機械は全て稼働しており、あちこちにある画面が鳥や空、町など、色々な物を映している。そしてその中には、先程の洞窟や箱庭も映っていた。
 また、壁沿いにはたくさんの巨大な試験管があり、部屋の中央にはさらに巨大な3つのフラスコがあった。どれも人が数人入るような大きさだ。
「あ、見て!」
 リエンが驚いた様子で試験管を指差した。全員がそちらを向く。
「あれは…人間!?」
 試験管の中には無色透明な液体が満たされており、さらに人らしき何かが1人ずつ入っていた。しかし、それは人ではなかった。
「おい、あっちのには角が生えてるぞ!」
「羽がついている者もいるな」
「どれも動かないが…眠っているのか?」
 試験管の中にいる者は皆人の形をしてはいたが、どれも異形な形態をしていた。全員目を閉じ、眠っているように動かない。
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