Tales of miracle

□第四章 契約
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 ネム大陸の中央部、平地に所々木が生い茂っているというごくごく普通の林の中。特に危険な獣もこの辺りにはおらず、森林浴にはもってこいの場所だ。いや、だった。
 今日の天気は晴れ、しかし雨、時々雷。気温は温暖、時たま寒冷。風は荒れ狂い、地震が頻発し、森林浴どころか通り抜ける事すら難しい状態になっている。
 そして時刻は夕方、この異常気象を引き起こしている原因は未だ止まらず。
「空裂斬!」
「地砕拳!」
 ジールが剣を振って生じた真空の刃とミューラが地面を殴って生じた地を這う衝撃破は、互いにぶつかり合って相殺した。その瞬間ジールの剣とミューラの拳が同じ場所でぶつかり、辺りに金属音を響かせた。
 そこを狙い、少し離れた場所から2人に向かって攻撃を仕掛ける雷の原因。
「豪雷閃!」
 ラキがジールとミューラの上空に矢を放った。矢は2人の真上まで到達すると突然光り、その場に雷を落とした。
 しかしジールとミューラは間一髪で飛び退き、雷をかわした。雷が落ちた地面には、焼け焦げができている。
 そこへ今度はアリシアが背後からラキに近づき、杖を振り下ろした。
「おっと、危ない」
「まだよ、氷追蛇!」
 ラキは横に跳んでかわしたが、地面に触れた杖から冷気が放たれ、蛇のように地面を這ってラキの足を包み込んだ。するとラキの足が地面と一体化するように凍り、固定されて動けなくなった。
「やべっ、油断した」
「油断大敵よ、ラキ」
 アリシアは再び杖でラキに殴りかかった。が、ラキはすぐに右手で短剣を取り出し、杖を受け止めた。
「油断大敵だぜ、アリシア。雷掌打!」
「くっ!」
 ラキは弓を持っている左手に雷の魔力を込め、アリシアの腹に叩きこんだ。アリシアは大きく吹き飛ばされたが、空中で1回転して軽やかに着地する。どうやらとっさに杖から左手を放して防御したようだ。
 と、同時にアーネストの詠唱が完了した。最後の言葉が辺りに響き渡る。
『大地に宿りし、煌めく力の結晶よ。グランドジュエル!』
 言い終わると同時に、アーネストは両手の鉄球を地面に落とした。
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