Tales of miracle

□プロローグ
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「ねぇ…君は、誰?」
 彼は女性から数歩離れた所で止まり、少し遠慮がちに話しかけた。女性は何の反応も示さない。
「ここ、どこかわかる?」
 続けて彼は質問をした。しかし女性はまるで聞こえていないかのように微動だにしない。
「ねぇ、聞いてる?」
 声をやや大きくして言うと、女性は彼に背を向けたまま口を開いた。
「待ってる」
「えっ?」
 女性が発した言葉に彼は不思議そうな声をあげた。女性はそれすらも聞こえなかったかのように続ける。
「貴方を待っているの。私の所へ来て。早くしないと手遅れになる」
 何を言われているのかわからず、彼は困惑する。
「え…あの、ちょっと」
「お願い、早く!」
「うわぁぁっ!」
 女性が大声で叫ぶのと同時にまた突風が吹き荒れた。彼は後ろに倒れ、さらに頭を強く打ち付けてしまった。
 薄れゆく意識の中、女性が何かを言っていたがそれを聞き取ることが出来ないまま、彼の目は閉じられた。






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