Tales of miracle

□第二章 シルヴェスタ
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 2人とも着ると、もう一度ジールが掛け声を発した。
「それじゃ、今度こそレッツゴー!」
 3人はテントを片付け、出発した。
 目指すはサラワク、そしてクイール山にあるシルヴェスタ本部だ。

「着いたわ、ここがサラワクよ」
 〔憩いの町 サラワク〕に着いた頃には、レインコートを着たジールとラキはずぶ濡れになっていた。
 一方、普段と変わらない格好で歩いているアリシアは、まるで1人だけ別次元にいるかのように全く濡れていない。
「うう、寒くなってきたよ。どっかで休まない?」
「そうね。どこか休める所を探しましょう」
 町は激しい雨が降っているというのに、道行く人は多かった。皆傘をさしたり、急ぎ足で駆け抜けて行く。
「こんな雨の中でも結構人がいるんだね」
「この町は人口も多い上に、旅人が休憩地点としてよく利用するの。結構賑わっている町なのよ」
「なぁ、2人とも、あのレストランに入らないか?昼時だし、昼飯を済ませようぜ」
「え、昼飯?うん、行こう、行こう」
「あ、ジール…」
 アリシアが呼び止めるひまもなく、ジールはさっさと中へ入ってしまった。それを見てアリシアは呆れたような溜め息をついて中へ入り、ラキもそれに続く。
 中に入ると、強い酒の匂いが鼻をついた。見ると、所々で騒いでいる客の塊がいた。
「…ねぇ、ラキ。ここって、酒場じゃない?」
「す、すまない、気付かなかった。で、でも、飯食う分には困らないんじゃないか?」
「まぁ、入ってしまった以上やむを得ないわ。ジールはどこ?」
「ああ、ジールなら、あそこにいるぞ」
 ラキが示した方向には、一際大きな集団が馬鹿騒ぎしている。大男が多いせいで中心は見えない。
 その1番外側で、ジールが中を見ようと何度も跳びはねていた。が、身長が足りなくてそれは叶わないようだ。
「…何してるの、ジール」
「あ、ラキ、アリシア。何かさ、この中で面白い事やってるみたいなんだよね。なんだろ?」
「ジール、こういう集団は危ないぞ。もしかしたら悪いことしt
「あ、あのー、すいませーん」
 ジールはラキを無視して、ちょうど集団から離れてきた大男に話しかけた。ラキは落胆したように溜め息を吐いた。
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