Tales of miracle

□幕間 蠢く黒い影
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「そんな事より、尾行はどうなったんだ?成果は出たのか?」
「あったり前でしょ〜!あたしを誰だと思ってるの?」
「はは、sorry。凄腕の元殺し屋さん」
 ブレイクがそう言うとレヴィは一瞬眉をひそめたが、すぐにいつもの明るい口調に戻って話し続けた。
「でね、アリシアを尾行してたらなんと!あのシルヴェスタ本部に着いたんだー♪どこ探しても無いと思ったら、山の地下にあったんだよね〜」
「マジかよ。で、これからそこ行くのか?」
 レヴィはふふん、と悪戯っぽく笑って答えた。
「残念でした〜。本部はもうディランとリリスに手伝ってもらって壊しちゃった。もう、久々にすっごく楽しい戦いだったなぁ」
「もう壊したのかよ?Shit、俺も行きたかったぜ」
 レヴィがうっとりしながら言うと、ブレイクは悔しそうに吐き捨てた。
「そういや、ディランとリリスはどうした?帰って来たんだろ?」
 ブレイクが何気なく尋ねるとレヴィは明るい調子から一転、悲しそうに目を伏せて答えた。
「ディランは、死んだよ。全身傷だらけで、心臓の所に穴が空いてた」
「何だと!?」
 ブレイクは眉を寄せ、驚いた口調で言った。
「それで、今はどこにいる?」
「リリスが連れていった。何か、治すとか言ってたけど」
「What?治す?リリスは蘇生術なんて使えるのか?」
「知らないよー。蘇生術なんて禁術の中にも無いはずだし」
「だよな。一体何をするつもりなんだ?」
 2人はしばらく黙って考えていたが、レヴィがいつもの明るい口調で口を開いた。
「ま、ディランが生き返るならあたしは文句なーし!もうすぐ計画も始まるし〜」
「ああ、計画か。確か1ヶ月後だったな」
「そ。シルヴェスタも無くなったし、宝玉はもうあたしたちの物になったも同然だしね。こーなったらアリシアもこっちに来るしかないっしょ」
「アリシアは逃げたのか?」
 ブレイクは少し不安そうな口調で尋ねると、レヴィは首を大きく横に振った。
「逃げたんじゃなくて、逃がしてあげたの。アリシアを拉致っても自殺されそうだし、それに…」
「それに、何だよ?」
 レヴィがうつむいて口を閉じると、すかさずブレイクが覗きこんだ。するとレヴィはすぐに笑って答える。
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