Tales of miracle

□第四章 契約
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 すると鉄球が落ちた所から無数の亀裂が地面に走り、ジールたち4人の足元がひびだらけになった。そして亀裂の隙間が光ると同時に地面が揺れ、結晶が吹き出して4人に襲いかかる。
「くそ、動けないのに、ぐぁっ!」
「うっ、雷のダメージが残って、きゃあっ!」
 ラキとアリシアは直撃をくらい、その場に膝をついた。しかし、ジールとミューラには余裕が見える。
「せーの、やっ!」
 ジールはかけ声と共に風の魔力を利用して高く跳び上がり、魔法の範囲外に逃げた。
「ふ〜、はっ!」
 ミューラは全身に力を込め、地の魔力によって強化した。すると結晶を弾くようになり、ミューラの体には傷1つつかない。
 魔法が止むとアーネストは鉄球を引き寄せ、両手に持った。その隙にジールとミューラはアーネストに向かって走り出す。
「アーネスト、まずは厄介な敵から倒すのが戦いの基本なんだよね?」
「だったら、まずはアーネストからぶっ倒すべきだよな」
 そう言いながら、2人はアーネストに剣と拳を突き出した。しかし、アーネストは余裕の笑みを浮かべている。
「ああ、正解だ。だが、厄介な敵ほど簡単に倒されてはくれないよ」
 アーネストは体を退けぞらせて攻撃をかわしつつ、瞬時に両手の鎖で剣と拳を絡みとった。剣と拳はアーネストの目の前で、ぴたっと止まる。
「うわ、と、取れない!」
「速さはあるが、力は足りてないよ、ジール」
「なら、これでどうだ!」
 ミューラはアーネストの脇腹に向かって右足の蹴りを放った。が、アーネストはミューラの拳を固定している左手の鎖を伸ばし、足を受け止めて一緒に巻き付けた。
「攻撃が単調すぎるよ、ミューラ。蹴りを止められたら、致命的だ」
「うわっ!」
 アーネストはミューラの左足に足払いをかけて転ばし、さらに素早く鎖でミューラの体を絡みとった。
「ちっ、やいコラ、アーネスト!ほどきやがれ!」
 ミューラは動けなくなって悪態をつくが、アーネストは涼しい笑顔をミューラに向けた。
「自分で何とかしたらどうだい?それともミューラは、鎖さえ引きちぎれないほど弱いのかな?」
「言ったな、この野郎!すぐにこんな鎖ぶっちぎって、その爽やかフェイスに1発入れてやるよ!ふっんんんん…!」
 ミューラは全身に力をいれ、鎖を引きちぎろうとしはじめた。
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