捜査室 文書室

□素敵な休日
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休日の午後。
昨夜から小野瀬さんの部屋にお泊まりした私は、部屋の掃除に洗濯を済ませ、リビングでまったりとカフェオレを飲んで一息ついた。

ちなみに小野瀬さんは出勤日。忙しそうな中でのお泊まりは気がひけたが、半ば引き摺り込まれた形になった。

外は久し振りに晴れて窓から射し込む日光の暖かさに眠気が襲ってくる。
と、不意に携帯が鳴る。小野瀬さんからだ。慌てて通話ボタンを押す。




「もしもし、どうしたの?」

小野瀬
「仕事の山を過ぎたから、家事もひと段落したころかなっと思って電話したんだけど…声が聞きたかったから…じゃ電話しちゃだめ?」



甘えるような声に見えない筈なのに首を振って答える。




「そんな事ない!葵の声が聞けて私も嬉しいから。」

小野瀬
「そう?お姫様に喜んでもらえたなら電話した甲斐があったというものです。」


「…元気出た?」

小野瀬
「うん、とても。ブラックコーヒーも甘く感じる位にね。今夜のご飯期待してもいい?…あ、洗濯全部干せたの?シーツとかシミ出来てなかった?翼頑張っちゃったもんね。」


「ばっ…!あれは葵のせいでしょ!あんな激しいの…!」

小野瀬
「え?だってねだったのは翼でしょ?あんな甘い声で、あんな蕩けそうな顔で見つめられたら応えてあげるのが俺の役目だろ?」


「〜〜!もうそんなの外で言わないでよ〜!誰かに聞かれてるか分かんないのに〜!」

小野瀬
「大丈夫だって。知ってるのは俺だけなんだし……あ、おい!」



突然小野瀬さんが声をあげる。ぼそぼそと布が擦れる音がしたと思ったら、思いもよらぬ人物の声が届いた。



「櫻井〜、こんなケダモノなんかとさっさと別れなさいよ〜。」


「室長!?」

小野瀬
「おい穂積返せ!」

穂積
「アホか!こんな卑猥な会話うちの娘とすんな!耳で孕むわ!」

小野瀬
「ちゃんと避妊はしてます〜。愛のある行為なんですからルイパパ早く俺の携帯返せ。」

穂積
「この●●●風情がうちの娘に近づくな!」

小野瀬
「えー、万年○○○○な男に言われたくないね。あ、オカマか。」

穂積
「お前!△△△のくせに!」

小野瀬
「失礼な奴だな。俺は翼の為に■■■とか□□□とかして彼女も悦んで受け取ってくれるのに〜。」


「二人してやめてください!誰が聞いてるか分からないんですから!!」



真っ赤になって携帯に向かって叫ぶ。しかし遠い所で言い争っているようで全く届いていない。



穂積
「▽▽▽▽なちっさい野郎が!」

小野瀬
「あ、それ言う!?◆◆◆なオカマちゃんがこんな所で。」

穂積
「こんの****!!」

小野瀬
「その言葉そっくりそのまま返すよこの****!」


「もういやあぁぁぁあ!!」




優雅な午後のひと時は、一本の電話によりあっさり打ち砕かれた。




その晩、私は腕によりをかけて大量のレバニラを調理し、冷蔵庫一杯にタッパーで詰め込んでおいた。

翌日には室長のマグカップに甘酒を並並入れておいた。

どちらにも「捨てるの絶対禁止!」の付箋をつけて。



藤守
「なんや室長、えらいげっそりした雰囲気出しとらん?」

如月
「さっき鑑識行ったら、小野瀬さんもぐったりした表情して、デコボココンビわたわたしてましたよ。」

小笠原
「食の暴力、恐るべし。」



小笠原さんが私を見るが、その私は皆さんの会話を無視してデータの打ち込みをしていた。
その顔は、とても満足げだったらしい。



明智
「一番敵に回してはいけない奴が目の前にいた…。」




fin.

 

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