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□幸せな重さ。[万事屋]
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夕方。
銀時が万事屋に帰宅すると。
割烹着を着けたままの新八が居間のソファーに腰掛けて寝ていた。
「うぉーい、新八く〜ん。銀さんのお帰りだよ〜。」
銀時が呼び掛けてみるが……反応なし。
銀時は物音をたてずにそっとソファーに近付くと、新八の隣に腰を降ろしてみた。
ソファーが銀時の重みで少し沈んだけれど、新八が起きる気配はない。
銀時はうーんと背伸びをすると、両腕をソファーの背もたれにかけて両足を床に投げ出した。
これでもか、って言う位だらぁーっと座ってみた。
テレビを点けてみる。
テレビから発せられる騒々しい音にもやはり新八の反応はなくて。
スー、スー、と健やかな寝息が聞こえるばかりだ。
(首痛くねーのかなぁ。)
ちらりと横目で新八を見遣る。
寝るにはちょっと無理な体勢をしているような感じがしたので。
自分の方に軽く引き寄せてみた。
急に倒れ込まないように、ゆっくりと。
起こさないように気をつけながら、自分の右足の太もも辺りに新八の頭をそーっと乗せてみた。
(銀さんが、新ちゃんに、ひ〜ざ〜ま〜く〜らぁ〜♪)
自分とは正反対の、新八のサラサラとした黒髪を軽く梳いてみる。
どうしてだか分からないけどちょっと幸せな気分になり。
銀時はニタッと笑った。
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