CP小説

□相思、相愛
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鏡に映したように瓜二つな弟を見る度、複雑な気分になる。
それはその時々により異なり、不快だったり、苦々しくあったりした。しかし、良い方向に思ったことはない。

シャワーを浴びてから部屋に向かう途中、ソファの背もたれに乗る足を見つけた。規則正しい呼吸が聞こえ、はあ、と溜め池を吐いた。
近寄ると、ぐしゃぐしゃなタオルを枕に眠るダンテがいる。

「おい、起きろ」

体を揺する。
テーブルにはピザが食い欠けのまま放られていて、我が弟ながらだらしない、と呆れた。少しは片付けろ。
再び眠りこけるダンテに目を遣る。せめて上着を着て欲しい。風邪など引かれて、うつされては困る。
生乾きの頭の下からタオルを引き抜く。

「んあ…なんだ、よ…」

薄らと瞼が上がり、自分と同じ色の眼がこちらを見上げた。背筋がぞくりとする。

なんだだと?
それはこちらの台詞だ。

「服を着て、部屋に戻れ」

「面倒臭ぇ」

「いいから早くしろ!」

声を荒げると、同じ顔があからさまに怒りを含み歪む。

「何をそんなに怒ってんだよ」

「っ…別に、」

銀糸から落ちる雫が肌を伝っていく。それを無意識下に視線で追う。喉が鳴る。酷く渇いていた。
最近、いや、大分前からだろうか。
自分の半身を目にする都度巻き起こった複雑な気分は、変に一定になりつつあった。例えるならそれは欲情に似ているのだが、双子の弟に、そんな感情があるなど。

「バージル?」

額を押さえた。
気付いてはいけない。

どうした、だの、具合が悪いのか、だのと心配する声が響く。喚くな。思って、しかし口には出さなかった。

「熱でもあんのか?」

自分より幾分か高い体温を持つ指が首筋に触れた。
咄嗟にしたことは、振り払うのではなく、ダンテの手首を掴んで引き寄せるという奇行。







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