ゆめ

□空を穿つ、
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ダンテとバージルといえば、裏社会の人間で知らぬ者はいない有名人だ。多額の依頼料を払い、且つ社長であるダンテが気に入った客であればどんな無茶な事も請け負う「DevilMayCry」事務所のたった二人の所員。
警察も手を焼いた大規模なマフィアを潰した、何人もの腕利きな殺し屋を雑作もなく返り討ちにした、人間離れした身体能力がある。
囁かれた噂は尾鰭がついたものではなく、元より噂でもない。全て事実だ。
悪魔も泣き出す。事務所の名に違わぬ手腕は公に出来ぬ事をしている大手企業からも引く手あまただが、自由主義なダンテと、他者の下につくのを嫌うバージル。双方の意向によりフリーのままだった。

簡易キッチンから、香ばしい匂いが漂う。ダンテが食事にありつけたのは、既に日が傾き始めた頃になる。
テーブルに焼きたてのピザが乗る。事務所設立当初は毎日のように配達されていたダンテの好物だが、「注文すると高い」との理由で家事全般を受け持つバージルが作っている。しかも凝り性故か、生地から作る。

「流石だな、バージル。もうアンタ店とか持てるんじゃないか?」

嬉々として切り分けられたピザを頬張る。
外したエプロンを丁寧に畳むバージルは、弟の賞賛にもさして顔色を変えずスーツジャケットに腕を通す。彼が几帳面に襟を正したところで、扉から控え目にノックの音がした。
開く気配はない。訝しんでバージルがドアノブに手を掛ける。と、少しだけ空いた隙間から少女が顔を覗かせた。

「依頼があるんですけど…」

静かに述べたアルトに、ダンテはヒュウ、と口笛を吹く。
どうやら依頼引き受けの条件は通ったらしい。招き入れられた少女は、ソファに座り事務所の主と対面する。

「話を聞こうか、お嬢さん?」

緩やかに、確実に、悪魔も泣き出す請負屋は、非日常を更に非日常へと引き込む。
































***
ディアボリズムグラス、黒晶さまより勝手に拝借させて戴いた現代DMCネタ。書いちゃったすいません。

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