CP小説

□ブラザーコンプレックス
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腹が減って目が覚めた。いつもよりずっと早い時間だが、ひとつ疑問が残る。バージルが起こしに来なかった。
ついに俺を朝に起こすのを諦めたかと喜んでリビングに行く。

「ん?」

可笑しい。
バージルの姿がない。別に気にしねえけどな。毎日いるもんがいないと調子が狂う。
一応、バージル、と呼んではみたが返事はない。デスクに書き置きもない。几帳面な奴だから、出掛け時は何かしら連絡をしていくのに。
違和感を拭うために気分転換と空腹をおさめるべく、冷蔵庫を開けた。

「オイオイ、マジかよ」

空っぽだ。潔いくらい何もない。
そういや昨日、買い溜めしてたピザのラスト一枚食べ切ったんだった。
となると、アイツは買い出しにでも行ったんだろう。帰って来たらなんか作ってくれるはずだ。

いつ出たのかは知らねえが、もう昼時だしすぐに戻る。

欠伸をして、雑誌を広げる。静かだ。
やれ机に足を乗せるな、散らかすな、シャワーを浴びたらちゃんと拭け、ソファで寝るな、と口煩く言う姑染みた兄がいない。楽だ。自由って素晴らしいじゃねえか。

「…自由、な…」

呟いて、雑誌を放り投げた。
落ち着かない。

「ああ、シャワー」

手を叩き、上着を脱ぎ捨ててバスルームに入る。タオルがない。
舌打ちして一度戻ってから、乾かしてあった洗濯物の中からタオルをとる。
今更気付く。当たり前になりすぎてて忘れてた。タオルは、俺がバスルームに入った後で、バージルが置いてくれていた。
さっぱりした気分になるつもりが、なんかモヤモヤが残る。寧ろ増えたんじゃねえか。くそ。












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