【有意義な知識の使い方】



(1〜2P目より)

「弁慶さん、結果はどうでした?」
「…どうやら僕の視力は0.3ぐらいのようです」
「えっ! それってかなり悪いですよ」
「そうなのですか?」
「はい。…やっぱり眼鏡をかけた方がいいんじゃないですか?」
望美さんがそう言うと、店員もその言葉に賛同し、
一度眼鏡をつけた感じを試してみては? と聞いてくる。




(3〜4P目より)

眼鏡を受け取ってから二日後の今日。
土曜日という事もあって望美さんは僕の家へ泊まっていく事になり、
甘い一時を過ごした訳なのだが…。
「…そううまくはいかない……か」
「…何がですか?」
ベッドから起き上がって言った独り言を望美さんは聞いていたようで、
寝転んで布団をすっぽりと被ったまま聞いてきた。
「…眼鏡ですよ」
「…眼鏡? 度が合ってないんですか?」
「いえ、そういう訳ではありません。
ただ…掛けたままだと動いている時に少しずれる事が分かったんです。
…君がどんな顔をしているのかもとてもよく分かるのですがそれだけが気になりまして。
…おや、どうかしましたか?」
「…もしかしてそんな事の為に眼鏡を掛けっぱなしにしてたんですか…!?」
「えぇ、そうですよ。でもそんな事ではありません。
僕にとっては大事な事ですから。
それに普段の生活でもちゃんと掛けているじゃないですか」
「で、でも…っ!」
「…それとも、君は僕の眼鏡を掛けた姿は嫌いですか?」
「い、いえ、眼鏡を掛けた弁慶さんもステキだなぁと思います……あれ?
何だか話が変わっているような……」
「まぁ、いいじゃありませんか。僕は君にそう言って貰えて嬉しいですよ」
僕はさり気なく話をすり替えて微笑み、再び体を横たえて望美さんにキスをした。


 翌日の夕方――、僕は望美さんと別れてから家に戻り、
パソコンで調べ物をしているといい事を思いついた。
けれど実行に移すとなると少し足りないものがある。
だから僕は明日早速出掛ける事にしてパソコンの電源を切った。




(5ページ目より)

「あれ…今日は眼鏡外すんですか?」
「えぇ。それとも掛けたままの方がいいですか?」
「い、いえ……」
僕はベッドに腰掛けながらシャツを脱ぎ、眼鏡を外すと
望美さんに声を掛けられたので返事をした。

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