次男総受け

□拝啓 親愛なるブラザー。今日も俺は元気に戦っています。
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「よぉ、カラ松の旦那。あー……今日も相変わらず、その……イカしてるな?」
「この良さが分かるとは、なかなか見る目があるじゃないか、薬研!」
「はは、そりゃどうも……」
「んだよその服。こんなクソダサいのが最先端の洒落た服なのか? 流行りってのは分かんねぇな……」
「和泉守、かっこよくて強いと名乗るのなら、お前も俺のパーフェクトファッションの真髄を理解するべきだぜ」
「おぉ……?」

 この本丸という場所はなかなかに居心地がいい。手入れの行き届いた綺麗な日本家屋はとても風流で、まるで老舗の旅館に居るような気分だ。広い畑で農作業をしたり、馬の手入れをしたり、鍛錬所で仲間達と手合せをするのも楽しい。仲間達は兄弟達と同じように時々俺をスルーすることもあるが、基本的には話を最後まで聞いてくれるし、何よりみんな優しい。初めて会った時は刀を持っているから何て物騒な奴らだと思ったけど、話してみれば良い奴らだった。

「カラ松くん、おはよう。今日は一緒に料理当番だから、よろしくね」
「グッモーニン、燭台切。えー、と……料理はあまり得意ではないから」
「カラ松くん?」
「はい精一杯頑張ります!」

 料理とか無理だから燭台切に全部任せようと思ったが、とても良い笑顔で凄まれた。イケメン怖い。だいたい何でここにはイケメンしかいないのだろうか? いや、俺も十分イケメンだけどな。でも、こういうリア充っぽいイケメンは、俺達六つ子の敵と言うか何と言うか……。まあでも、ここの皆があまりに良い奴らなので、「リア充滅びろ!」とかは思わない。思ったことがなくはないが、思わないったら思わない。俺は余裕のある男だからな。とりあえず、料理の手解きお願いします燭台切先輩。


「ありがとうカラ松くん、またよろしくね。君とゆっくり話せてよかったよ。また二人きりで話したいな」

 燭台切の指導のもと、何とか料理を完成させることができた。慣れないことをして疲れたが、燭台切とも更に仲良くなれた気がする。そして俺の料理スキルも上がったぜ。ただでさえパーフェクトな俺に料理男子と言う属性までついてしまったら、カラ松ガールズが益々増えてしまうな! ……残念ながらここには女の子は一人もいない訳だが……。


 さて、最後まで実家から離れないと豪語していたこの俺が、何故家を出てこのような場所に居るのか知りたいだろ? 俺も知りたいんだよなぁ……。一応自分の意思でここに来たので、気付いたらここに居たと言うと少し語弊がある。しかし、訳が分からぬ内に連れて来られ、今の状況に至ったと言うのはあながち嘘ではない。俺は突然この異空間に送り込まれ、この本丸で仲間達と共に日夜敵と戦うことになった。

 ああ、そうだ。怒涛のように毎日が過ぎ去っていったので忘れていたが、そろそろ兄弟達に連絡をしなければ。みんな急に居なくなった俺を心配していることだろう。ここは外部との通信に制限があるのでメールはできない。政府以外への連絡をしたければ、原始的に手紙という手段を取らざるを得ない。幸い今日は休みだし、今日までの出来事を振り返りながらゆっくり手紙を書くとしよう。

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