「どうしよう……予想外に寒い……」 シンオウ地方は寒いと聞いていたけれど、秋だからまだ大丈夫だろうと高を括っていた自分が馬鹿だった。こちらはとっくに冬らしい。まさか、もう雪が積もっているなんて。 キッサキシティに到着した私は、その寒さに驚きつつも何とかキッサキジムまで辿り着き、つい先程ジムリーダーのスズナちゃんに辛勝した。 「早くポケモンセンターに行こう……」 一刻も早くポケモンセンターに行って身体を温めたい。しかし、一度センターで温まってしまったら、春が来るまで一歩も出たくなくなりそうで少し怖い。 「お姉さん、大丈夫ですか?」 「え?」 「何だか凄く寒そうな格好してるから。僕の上着、貸しましょうか?」 目の前には帽子を被った男の子がいた。背は私より少しだけ低くて、大きな目をパチパチさせながら私を見ている。 「心配してくれてありがとう。でも、大丈夫です」 「うーん、そうですか? ……でも、やっぱりこれ着てください! 僕は寒いの平気だから」 輝かしいほどの笑顔で上着を渡されてしまいつい受け取りそうになってしまった私。でも、上着を脱いだその子は半袖で、とてもじゃないけど借りる訳にはいかなかった。そもそも準備不足で来た私が悪いのに。 「僕は本当に大丈夫。女の子は身体を冷やしちゃ駄目です……って、友達が言ってました」 「でも……」 困った私は、苦肉の策として、コートを借りる代わりにコートを買えるお店を教えてもらうことにした。 これが私とコウキ君の出会いです。 |