ホラー・狂愛夢

□留学
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※差別的な表現が含まれていますが、あくまで都市伝説の引用だということを御留意願います。ホラーとはやや趣向が違います。




 俺はアメリカの大学に留学している学生だ。こちらに来てから数ヶ月経ち、アメリカでの生活にも慣れて毎日楽しくやっていた。この日までは……。


 大学の講義が終わってから友人達と街で遊んでいたらつい遅くなってしまった。日本にいた時の癖で、暗い道を一人で歩いていたのがいけなかったのだろう。突然屈強な黒人男性に腕を掴まれ、路地裏に引きずり込まれて関係を迫られた。俺はヤバいと思って逃げようとしたが、相手の力は相当強く不可能だった。


 暴れながら、中学、高校時代、日本でよく連んでいた獄寺の言葉が頭を過った。


──何だよ刹也、お前留学すんのか? へぇ、お前がなぁ。ま、精々頑張れよ。……そういやあっちは同性愛者が多いからな……。特に小柄な日本人は狙われやすいって聞く。お前、弱いんだから気をつけろよ。


 あぁ、捻くれ者のあいつがわざわざ忠告してくれてたのにこの様かよ……! こんな所で野郎に掘られて堪るか……!

 しかし、言われた通り俺は弱かった。こんな大男、俺一人じゃ引き離せない。どうしよう、どうしよう……。このままじゃ本当にヤバい……!

 そうだ。もし屈強な男に迫られたら、「私はHIV感染者です」と言えば大丈夫だとどこかで聞いたことがある。どこかで読んだ都市伝説を思い出した俺は、いかにも日本語英語の発音で叫んだ。

「I am AIDS!」

 しかし、それを聞いた黒人男性は何故だか嬉しそうな顔をして、俺を押さえ付ける腕に更に力を込めた。そして、低い声でこう言った。


「Me, too.」


 恐怖で呆然とする俺は、そのままなす術もなく押し倒されてしまった。



HIV感染者は日本でも増加しています。感染が増えているのは同性愛者の方だけではありません。同性間、異性間や男女、そして特定の相手か不特定の相手かなどには関係なく、性行為をする人は誰でも感染の可能性があることを常に忘れず感染予防に努めて下さい。
自分の身を守れるのは自分だけです。


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